地衣類とはなにか。

Tillamook State Park, OR

オレゴンの針葉樹林には、地衣類(lichens)が豊富に生息している。地衣類とはなにか。地衣類は、藻類と共生し、藻類によって光合成を行う、カビやキノコ類と同じ菌類である。外見上は、縮れた葉のような形をしているもの、あるいはサンゴのように枝分かれしているものなどあり、枝に、あるいは岩の上に生息している。色が美しく、そしてもろい構造をしている。

この奇妙な「菌類」が、冷涼な気候のもと、針葉樹の枝や幹に、とてつもなく「ぶらさがっている」あるいは「張り付いている」さまは、別世界である。雪の中、サルオガセ類が枝から垂れ下がっているさまは、ちょっと忘れられない。寒さの中、下草が雪で覆われて静まり返る針葉樹林のもと、地衣類だけが緑を保ち、光合成を行う。地衣類は大気汚染に弱く、非常にゆっくりと成長するため、これほど繁茂するためには、生息地域が限られている。

オレゴンで真っ先に視界に飛び込んでくる地衣類は、香料・染料に使われたというツノマタゴケ(Evernia pulnastri)で、これはカシの木によく見ることができる地衣類である。乾燥すると水色がかった白色に、雨が降るとその青みが濃くなって神秘的な色合いとなる。